近赤外線分光法を用いた色嗜好判断中の皮質活動分析 : 色情報提示様式の効果

概要

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本研究は、色情報の提示様式(モード)の違いが、被験者の嗜好色判断にどのような影響を及ぼすのかを検討した。具体的には、さまざまな様式で対提示された色情報に対する嗜好判断課題を用い、判断に要する時間と近赤外線分光法(NIRS)を用いて計測した前部前頭前野(aPFC)の活動量変化とを指標として、色嗜好判断に伴う心理学的情報処理過程の様相を分析した。実験の主要な結束は以下のようにまとめる事ができる。(1)色情報の提示モードにより、色嗜好判断に要する時間が変化する。(2)色嗜好判断課題中の両側のaPFCの活動は、(色嗜好判断に要した)判断時間に比例して増加する。(3)総体的には、青もしくは高明度・高彩度の色が選好されやすい。(4)具体的な事物が色嗜好判断の対象となる条件においては、選好される色がさまざまに変化する。嗜好色に関する結果はこれまでの先行研究と一致していた。さらに、判断時間とaPFC活動との相関は、高次精神活動の座として考えられているaPFCが、色嗜好においても何らかの役割を果たしている事を示唆している。本研究の成果は、脳活動計測が色嗜好の分析のための有効なツールとして利用可能であることを示している。
2008-09-01