産痛の「受容」と「回避」に関する医療提供者と医療消費者の態度

概要

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本研究は,医療消費者と提供者の産痛の受容と回避に関する態度について考察することを目的とし,医療消費者23人と医療提供者25人に半構成的面接調査を実施しKJ法で分析を行った。医療消費者,医療提供者ともに産痛緩和法に関しては,基本的には自然志向への態度が強くみられた。産痛の意味づけや,当たり前という感覚,達成感,通過儀礼的価値観は,産痛を乗り越えることへのモチベーションとなることが再確認されたが,一方で,産痛を回避する人への偏見をもたらす側面があることが明らかとなり配慮の必要性が示唆された。麻酔分娩を行った女性は達成感や満足感も得た人が多かったが,社会通念とは異なることで気兼ねの感覚をもっていた人も存在した。自然志向にありながらも,医療消費者は選択肢として麻酔分娩もあったほうがよいとする語りがあり,また産婦人科医は,産婦の要求が増し,麻酔科医が参与すればオプションとして提示してもよいとする態度があった。麻酔科医は,麻酔分娩に携わることについて時間の不規則性や業務範囲が狭いなどの理由をあげ,消極的な態度を示す場合が多かった。助産師は産婦の達成感や主体性を重要視し,麻酔分娩は選択肢として容認しがたい,あるいは躊躇する態度が多くみられた。自然志向や医療システム上の条件からみて,麻酔分娩は欧米のように主流にはならないと推察されたが,今後も産痛を乗り越えさせる助産ケアをさらに発展させると同時に,少数派である麻酔分娩を選択する女性に対する理解を深める必要性も示唆された。

著者

吉田和枝
石川県立看護大学

産痛の「受容」と「回避」に関する医療提供者と医療消費者の態度

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