胎児発育および新生児出生体重に及ぼす妊婦の体重増加に関する研究
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概要
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背景:低出生体重児は将来的に生活習慣病を発症する頻度が高いことが指摘されている。一方,わが国では母親の低栄養状態との関連が示唆される低出生体重児の増加傾向が続いている。このため胎児発育にかかわる妊婦の体重管理の定量的な評価は重要な課題である。方法と結果:単胎妊婦33名を対象として,母親の体重変化を,母親実質体重増加量(子宮・皮下脂肪・循環血液増加量など).胎児体重,胎盤重量,羊水量に細分化し,胎児の発育に影響を及ぼす因子を検討した。母親の非妊時体重と非妊時BMIは,週あたりの児の体重増加量(非妊時体重:r=0.42,p<0.05,非妊時BMI:r=0.41,p<0.05),および週あたりの胸囲増加量と有意な正相関を示した。児の体重増加量は,週あたりの母親体重増加量と有意な関連を示さなかったが,週あたりの母親実質体重増加量と有意な正相関を示した(r=0.50,p<0.01)。結論:胎児発育は,妊娠前の母親の栄養状態,および妊娠中の母親白身の栄養状態を意味する実質体重増加に依存し,妊娠可能年齢女性の妊娠前からの栄養・体重管理と,妊娠中の母親の十分な栄養摂取に基づく代謝環境の形成は,良好な胎児の発育のために極めて重要である。
著者
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笹田 麻由香
札幌医科大学附属病院産科周産期科
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岩田 銀子
北海道文教大学看護学科母性看護学
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河口 明人
北海道大学大学院教育学研究院健康科学
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河口 明人
北海道大学教育学研究科健康スポーツ科学講座
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河口 明人
北海道大学大学院教育学研究院
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岩田 銀子
北海道文教大学人間科学部看護学科
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