女性介護者における腰痛の実態と関連要因に関する横断研究

概要

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本研究は,横断研究により,女性介護者における腰痛との関連要因を明らかにすることを目的とした。4カ所の特別養護老人ホームに勤務する女性介護職員88人を対象として,腰痛の有無,経験年数,Body Mass Index(BMI),握力,長座体前屈,指床間距離(Finger-Floor Distance : FFD),抑うつ自己評価スコア(the Center for Epidemiologic Study Depression Scale : CES-D),SF-8による身体的健康度(Physical Health Score : PHS)と精神的健康度(Mental Health Score : MHS),疲労の自覚症状を調査した。腰痛の有無を目的変数とし,その他の変数を説明変数とした多重ロジスティック回帰分析を行った。49人(55.7%)が,慢性的な腰痛を訴えていた。多重ロジスティック回帰分析の結果,腰痛の発生は,身長がオッズ比(OR)1.12,95%信頼区間(95%CI)1.02-1.23,SF-8による身体的健康度(PHS)が,OR : 0.89(95%CI : 0.86-0.97),精神的健康度(MHS)がOR : 0.90(95%CI : 0.81-0.99)で有意であった。本研究は,身長が高いことは中腰姿勢を助長し,腰痛を起こす原因になるかもしれないこと,身体・精神的な健康の程度は,腰痛と関係があることが明らかになった。今後,交代勤務に伴う睡眠障害や慢性疲労との関連性も含めて検討すべきであることが示唆された。
2010-06-25