チュウゴクザサとチシマザサにおける地下茎の分枝・伸長様式とジェネットの空間分布構造(<特集>Bambooはなぜ一斉開花するのか?〜熱帯から温帯へのクローナル特性と開花更新習性の進化を探る〜)
スポンサーリンク
概要
- 論文の詳細を見る
長期にわたって栄養成長を続けるタケ・ササ類の地下茎の分枝・伸長様式は、稈やジェネットの空間分布構造を決定づけ、有性生殖時の交配様式や遺伝的多様性の維持に大きな影響を与える重要な形質であると考えられる。そこで、表土剥ぎ取り調査とDNA分析によって、地下茎の分枝・伸長様式とジェネットの空間分布構造を明らかにした例として、(1)2007年に一斉開花したチュウゴクザサ(Sasa veitchii var.hirsuta)個体群と、(2)秋田県十和田湖南岸域で1995年の一斉開花時に開花せずにパッチ状に残されたチシマザサ(Sasa kurilensis)個体群を対象として行った研究成果を報告する。調査の結果、チュウゴクザサは単軸型地下茎による分枝・伸長様式によって、ジェネットが混在する空間分布構造を形成していることが確認された。一方、チシマザサは単軸型と連軸型の地下茎をもつ混合型の分枝・伸長様式によって、広範囲にわたって特定のジェネットが空間を独占する分布構造を形成していることが確認された。このように、それぞれの種が異なる地下茎の分枝・伸長様式に従った栄養成長を行うことによって、それぞれ異なるジェネットの空間分布構造が形成されたと考えた。
- 2010-03-31
著者
-
松尾 歩
東北大学大学院農学研究科
-
陶山 佳久
東北大学大学院農学研究科
-
蒔田 明史
秋田県立大学生物資源科学部
-
MATSUO Ayumi
東北大学大学院農学研究科
-
蒔田 明史
秋田県立大学森林科学講座
-
蒔田 明史
秋田県立大学
関連論文
- チュウゴクザサとチシマザサにおける地下茎の分枝・伸長様式とジェネットの空間分布構造(Bambooはなぜ一斉開花するのか?〜熱帯から温帯へのクローナル特性と開花更新習性の進化を探る〜)
- モニタリングサイト1000森林・草原調査コアサイト・準コアサイトの毎木調査データの概要(学術情報)
- タケ・ササ類の一斉開花に関する一考察(Bambooはなぜ一斉開花するのか?〜熱帯から温帯へのクローナル特性と開花更新習性の進化を探る〜)
- Bamboo-その不思議な生活史(Bambooはなぜ一斉開花するのか?〜熱帯から温帯へのクローナル特性と開花更新習性の進化を探る〜)
- 2004年台風15号による塩風害が秋田県の樹木に与えた影響 : 樹種,地域による変動及び海岸マツ林の防風効果
- 秋田発:「天然記念物保存管理計画」進行中!(会員の広場)
- 外部病徴の見られないアカマツから脱出したマツノマダラカミキリ成虫のマツノザイセンチュウ保持数
- チュウゴクザサとチシマザサにおける地下茎の分枝・伸長様式とジェネットの空間分布構造
- Bamboo-その不思議な生活史
- 小坂鉱山煙害地に造成された50年生ニセアカシア林の生育実態
- 針葉変色を伴わないアカマツから脱出したマツノマダラカミキリ成虫のマツノザイセンチュウ保持数
- 冷温帯落葉広葉樹林における地形と樹木種の分布パターンとの関係(投稿論文, 研究報告)
- 国際情報 第8回クローナル植物国際ワークショップClone2006に参加して
- 秋田県岩川地方スギ天然更新木の成長とクローン分布
- 天然記念物「鳥屋野逆ダケの藪」の現状と保全
- 十和田湖南岸域におけるチシマザサ一斉枯死後9年間のブナ実生個体群の動向
- 十和田湖南岸域における一斉開花後8年間のチシマザサ個体群の動態--特に非開花集団に注目して
- 国内情報 研究会報告「林床から森林動態を考えるPart3--キーストーン種としてのササの生活史とクローナル特性の解析」
- 針広混交林の動態と施業研究におけるササ生活史研究への貢献--故 工藤 弘博士の研究の足跡
- 1996・1997年のササ開花情報
- 伊豆諸島御蔵島で1997年に見られたミクラザサ(Sasa kurilensis var.jotanii)の一斉開花における大量結実と発芽
- 1996・1997年のササ開花情報
- 伊豆諸島御蔵島で1997年に見られたミクラザサ(Sasa kurilennsis var.jonanii)の一斉開花における大量結実と発芽
- DNA分析によって検出されたチシマザサの大ジェネット
- 天然記念物「角館のシダレザクラ」の現状とモニタリング手法の検討(一般講演(口頭発表),第9回大会講演要旨)
- 国際シンポジュウム"The Bamboos"の報告
- チシマザサの地下茎の伸長様式
- 残存ブナ個体群における遺伝的多様性と空間的遺伝構造の大面積調査
- 草地とその生物多様性の保護--ヒトとかかわりのある自然の保全 (特集 日本の草地が危ない)
- 八甲田山のオオシラビソ : 分布変遷の果てに(限界地めぐり)
- 森林の更新過程解析のための分子生態学的アプローチ : 母方由来・両親由来組織のDNA分析による樹木実生の親木特定法(L2 分子生態学 : 分子生物学的アプローチが拓く生態学の新たな展開)(日本生態学会創立50周年記念大会基調シンポジウム)
- 白神山地における異なった構造をもつブナ林の動態モニタリング(白神山地の保全と周辺部の持続的利用に向けて I. 白神山地の森林の分布とダイナミクス)
- 被害木の炭化によるマツ材線虫病の防除 : 媒介昆虫抑制のための戦略と秋田の海岸マツ林における取り組み(東北地方の松くい虫被害を見直す)
- テーマ別セッション「東北地方における『自然再生』のあり方を探る」
- 次世代に引き継ぐために…秋田市千秋公園さくら再生基本計画(会員の広場)
- 次世代に引き継ぐために…秋田市千秋公園さくら再生基本計画
- ササの不思議な生活史 : 開花習性を中心に(ササのユニークな生態とその管理・利用)
- 「森の生態史-北上山地の景観とその成り立ち-」, 大住克博・杉田久志・池田重人編, B5版, 221p, 古今書院, 2005年11月, ISBN4-7722-1472-0, 本体3,500円