『学習指導要領・理科編(試案)』(1947)の成立過程に関する研究 : 小学校第1〜3学年の内容構成を中心に
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概要
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本研究の目的は,1947(昭和22)年に作成された『学習指導要領・理科編(試案)』の第1〜3学年の内容の構成原理を明らかにし,低学年理科がどのように戦前から戦後へと変貌したのかについて把握することである。関係する文献資料を分析した結果,文部省教科書局の岡現次郎(1901-84)は,連合国軍最高司令官総司令部(GHQ/SCAP)の民間情報教育局(CIE)係官から提供されたヴァージニア州のコース・オブ・スタディ(1943)やワシントン州スポケーンのコース・オブ・スタディ(1943),進歩主義協会による『一般教育としての科学』(1938)などのアメリカ側科学教育情報を取り入れながら,戦前の『自然の観察』(1941・42)からの転換を図り,新しい理科カリキュラムの枠組みづくりを行ったことが明らかになった。昭和22年版学習指導要領理科編はその内容構成において,ワシントン州スポケーンのコース・オブ・スタディをモデルとし,戦前の『自然の観察』よりも同コース・オブ・スタディの指導内容・方法を積極的に取り入れた,新しい理科カリキュラムとして成立したのである。
- 2008-11-30
著者
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