占領下日本における理科教育の改革(I) : CIE教育映画「火の化学」と「火の用心」を中心として
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概要
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本研究は,占領下日本における理科関係のCIE教育映画の実態,CIE教育映画の学校での利用法及びCIE教育映画の理科教育改革に及ぼした影響などについて明らかにすることを目的とした。諸資料による文献研究及び関係者へのインタビューの結果,次の諸点が認められた。1.CIE教育映画はアメリカやイギリスなどで製作されただけでなく,日本でも製作された。日本で製作されたCIE教育映画「火の用心」は,アメリカ製CIE教育映画「火の化学」の一部を採録して製作されたが,「火の化学」に見劣りしない教育的価値の高い映画であった。2.CIE教育映画「火の用心」と「火の化学」は小・中学校の教科書の不備を補足するだけでなく,火災予防という社会的ニーズに応えるものであった。3.CIE教育映画は学校現場に映画教材を提供しただけでなく,日本における良質の映画教材の開発を一層促進し,学校での映画利用を容易にしたのではないかと考えられる。4.CIEや地方軍政部,文部省などによって,CIE教育映画視聴後,「研究と討論の栞」を用いて「討論」を行うことが奨励されていた。5.CIE教育映画上映は,今日の各都道府県視聴覚ライブラリー設立の契機となっており,理科における視聴覚教育の先駆けであった。
- 2003-03-05
著者
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