ゲーテの詩によるベートーヴェンの歌曲の革命性について : 「ロココ」から「疾風怒濤」の時代へ
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概要
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1812年にベートーヴェンが友人の実業家フランツ・ブレンターノに宛てた密書、いわゆる「〈不滅の恋人〉への手紙」は、検閲を攪乱するために、「自由(の女神)」に語りかける形にした虚構の恋文である。「自由」を「恋人」に見立てるこの擬製の恋文の発想と修辞は、ベートーヴェンが歌曲にした1771年のゲーテの詩《5月の歌》と《彩色されたリボンを以て》にその類型を求めることができる。また、この2つの歌曲には、《第9交響曲》に採り入れられたシラーの《歓喜に寄せる頌歌》の旋律との類似も認められる。これらのゲーテとシラーの詩、及びベートーヴェンの歌曲と交響曲において表明され主張されているのは、自由で平等な民主国家を理想と考える社会思想であり、それを実現するための変革を待望し推進しようとする強い意思である。
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