N-置換acrylamide系ランダム共重合体の水の構造と血液適合性
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概要
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バイオマテリアルにおける血液適合性発現機構は様々な観点から研究されてきたが,未だその解明には至っていない.これらの仮説の一つに,「ポリマー中の水の関与」を指摘するものもあるが,具体的な水の構造は示されていない.我々は血液適合性が良いとされるポリ(2-メトキシエチルアクリレート)(PMEA)が示差走査熱量測定(DSC)を使った熱分析から,-80 〜 25℃までの昇温過程において低温結晶化を示す水(中間水)を有することに注目し,水の観点から血液適合性発現機構について検討を行ってきている.また,中間水は高分子と相互作用した水であること,血液適合性は37℃での事象であることから低温結晶化は必要条件ではなく,高分子と相互作用した水(束縛水)であれば良い可能性もあるため,束縛水を有する材料について検討を行った.すなわち,束縛水を含有する材料としてアクリロイルモルフォリン共重合体(PACMO),N,N-ジメチル及びN,N-ジエチルアクリルアミド共重合体(PDMA,PDEA)を合成し,血液適合性評価と水の構造解析を行った.凝固系・血小板に対する評価結果から,束縛水量,不凍水量の増大に伴って血液適合性は向上することがわかった.したがって,血液適合性には束縛水・不凍水が関与することが示された.
- 2009-03-31
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