ネパール丘陵地における主要農業経営部門の経済分析
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概要
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ネパールは生態系によって平坦地帯,丘陵地帯および山岳地帯の三地域に大別され,それぞれ異なる自然環境,土地基盤,社会経済条件を有し,多様なファーミングシステムを特徴としている。丘陵地帯の斜面やテラスで営まれている伝統的な営農システムは地域固有で環境適応型であるが,近年はより高い生産性を目指して変遷しつつある。伝統的システムは,作物,家畜,および森林の3部門から成る。作物は家畜に対してエサと敷き藁を提供し,家畜は役力と堆厩肥を提供する。森林は家畜のエサを提供するだけでなく地力維持にも貢献する。このような部門間の補完関係に注目し,本稿はネパール丘陵地帯の3村落での質問票調査に基づいて,高地農業と農家経済の持続性を物的経済的視点から検討した。<BR>その結果,森林と家畜の相互依存が最も顕著であること,また農家経済の森林依存度が高いことが明らかになった。作物部門は最も高い収益性を示すと考えられたが,村落の土地および森林の条件によって異なった。経営耕地面積,教育水準,家畜規模および私有林面積の4変数が調査村の農家所得の重要な決定要因であることを示した。
- 2010-03-15
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