マレーシアの稲作農村における所得格差
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概要
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1980年代後半,マレーシア経済は急激な発展を遂げた。諸外国が直接投資を行うことにより西海岸の工業団地に多国籍企業が進出したためである。製造業部門のGDPシェアは1980年の6.8%から増加し2005年には31.4%に達した。工業地帯は西海岸に集中しているため,現在,東海岸と西海岸には深刻な経済格差が存在している。本研究では州レベルで議論されてきた経済格差を世帯レベルで解明し,東西両海岸に位置している稲作農村の現状および経済格差を把握するための分析を行った。<BR>本研究の主な成果は3点挙げられる。(1)世帯レベルでの所得分布を検討した結果,西海岸のPTBB村の世帯所得は相対的に高く分布しており,東海岸に位置するHC村の農家は低所得層に分布していることが明らかになった。農業所得の貢献は限られており,農外所得が大きく貢献していることが明らかになった。(2)ジニ係数や対数標準偏差を用いて両村の所得格差について検討した結果,HC村内では個々の就業者所得および農家所得において大きな格差があることが分かった。(3)世帯所得の決定には,世帯内の就業者数,世帯主の年齢・性別・職業,および居住地が大きく影響することを明らかにした。
- 2010-06-25
著者
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寺野 梨香
東京農業大学大学院農学研究科国際バイオビジネス学専攻博士後期課程
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藤本 彰三
東京農業大学国際食料情報学部国際バイオビジネス学科
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藤本 彰三
東京農業大学大国際食料情報学部国際バイオビジネス学科
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藤本 彰三
東京農業大学
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