実験嚢胞腎における嚢胞形成とクエン酸の効果に関する検討

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[目的]多発性嚢胞腎では,嚢胞の増加,増大に伴い,進行性に腎機能が低下し腎不全に至るが,,嚢胞形成,進展に関与する因子はまだ充分に解明されていない.今回,我々は実験的嚢胞形成ラットを用い,腎嚢胞形成および腎機能悪化に対するクエン酸の影響を検討した.[対象および方法]Sprague-Dawley種ラットを3群に分け,グループ1は通常の飼料のみを,グループ2はジエチルサイアゾール(DPT)を4週間,グループ3はDPTとクエン酸を4週間与えた.4週後,24時間蓄尿と血液検査を行い,摘出腎臓を組織学的に検討した.また,クロライドチャネル-K(CLC-K)の発現をノーザンブロッティングおよび免疫組織学的に確認した.[結果]嚢胞形成は,DPTを摂取したグループ2と3のすべてのラットに認められたが,DPTとクエン酸をともに摂取したグループ3では嚢胞面積は有意に小さかった.GFRはグループ2が最も低く,明らかにグループ3に比べて低下していた.CLC-Kは,グループ2でグループ1より発現が弱かったが,グループ3はグループ2より発現が強かった.尿細管上皮細胞でのCLC-K(2)はグループ3でグループ2よりも強く染色され,嚢胞の増大に伴い染色性が低下していた.[結語]クエン酸は,実験的嚢胞形成ラットにおいて,嚢胞形成を阻害し,腎機能悪化を抑制した.尿細管上皮細胞でのCLC-Kの発現や局在の違いが,嚢胞増大に関与していると考えられた.
東京女子医科大学の論文

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