蚊刺症患児の臨床的背景とtranilastの効果

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一般小児科外来診療において,蚊刺により腫れて困っている患児がいることを多くの小児科医が経験しているが,これらの症状を呈する児の定義や治療は確立されていない.蚊によると考えられる虫刺症である蚊刺症の診断を考える上で,対象として保育園児童の蚊刺後の反応を比較検討し,蚊刺症と判断する基準について調査した.更に,蚊刺症と判断した症例に対するtranilast投与の効果についての評価を行った.当科および戸田中央総合病院小児アレルギー外来で蚊刺後の症状を主訴に蚊刺症として治療した児童35名を蚊刺症例群とし,荒川区内の2ヵ所の保育園児童128名を対照群とした.両群に蚊刺後の反応について,保護者に対しアンケート調査を行い比較検討した.また,蚊刺症例群にはtranilast投与の効果を5点満点とする評価の調査も併せて行った.蚊刺後の最も大きく腫れた直径は,対照群では中央値1.5cmに対し,蚊刺症例群では中央値3cmと蚊刺症例群の反応が大きい傾向であった.蚊刺後の腫脹期間は,対照群では中央値3日に対し,蚊刺症例群では中央値7日と長くなっていた.従って,蚊刺症例群の特徴としては,最も大きく腫れた直径が3cm以上で腫脹期間が7日以上であると考えられる.tranilast投与における蚊刺後の変化は,最も大きく腫れた直径の変化では,投与後は中央値0.5cmと減少し,腫脹期間の変化でも投与後は中央値2日と短縮した.tranilast投与の有効性の調査でも5点満点中4.25点と高い評価を認めた.このことから,蚊刺症に対するtranilast投与の効果が期待される.
東京女子医科大学の論文

蚊刺症患児の臨床的背景とtranilastの効果

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