麻薬性鎮痛薬によるがん性疼痛コントロールに対する看護師の認識と実践について : 一般病院・大学病院・がん専門病院・緩和ケア病棟の比較検討から
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概要
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麻薬性鎮痛剤によるがん性疼痛コントロールについて、一般病院・大学病院・がん専門病院・緩和ケア病棟に勤務する看護師の認識・実践の差異と、明らかになった差異から看護師の課題を考察するために、自由記載による質問紙調査を実施し907名から回答を得た。看護師の認識と実践については、がん性疼痛コントロールの妨害因子とされている医療者の麻薬に対する躊躇・がん性疼痛のアセスメント・患者と家族に対する関わりに焦点を当てた。 看護師が勤務している病院の違いによる、がん性疼痛コントロールに対する認識と実践の差異から、一般病院と大学病院に勤務する看護師の課題を考察した結果、次のことが明らかとなった。がん性疼痛コントロールに関する知識について、大学病院では麻薬による呼吸抑制など副作用に対して誤った認識を持っており(p=.000~.003)、この誤った認識はがん性疼痛コントロールを妨害すると考える。看護師の患者と家族への関りについて、がん専門病院と緩和ケア病棟と比較して、一般病院では看護師自身の患者と家族への働きかけよりも、医師に報告するという姿勢が強かった(p=.001)。しかし、一般病院と大学病院の看護師は、医師の麻薬に対する躊躇の原因として、患者と家族の考え方や思い・家族の同意を強く認識しており(p=.000~.001)、この結果から、医師は患者と家族に対する十分な説明と同意を得るという取り組みが不足している可能性がある。そこで、看護師は、医師に患者と家族との関わりを任せるという受身の姿勢ではなく、チーム医療の中でカンファレンスなどの場を活用し、患者理解を深めながら看護師自身が十分な説明と教育的な関わりを行い、患者と家族の主体的なケアへの参画を促さなければならない。
- 山梨県立大学の論文
- 2009-02-27
著者
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