ラット唾液腺の細胞質型グルタチオンペルオキシダーゼ活性およびリン脂質ヒドロペルオキシドグルタチオンペルオキシダーゼ活性
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概要
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ラット唾液腺における細胞質型グルタチオンペルオキシダーゼ(cGPx)とリン脂質ヒドロペルオキシドグルタチオンペルオキシダーゼ(PHGPx)の分布を検討した。三大唾液腺のうち,顎下腺と舌下腺では高いcGPx 活性が認められたが,耳下腺では他の唾液腺の約30%の活性であった。cGPx は主として細胞質画分に分布した。一方,PHGPx 活性は顎下腺,耳下腺,舌下腺の順に高い活性を示した。舌下腺のPHGPx 活性はcGPx 活性とは異なり,他の唾液腺よりかなり低かった。PHGPx 活性は細胞質画分,ミトコンドリア画分,ミクロソーム画分に広く分布した。顎下腺ではこれらの画分でほぼ同程度の活性を示したが,耳下腺細胞質画分と舌下腺ミトコンドリア画分の活性は他の画分より低かった。細胞質画分とミトコンドリア画分のPHGPx 活性はリン脂質種に対する特異性が低く,細胞内で生じる種々のリン脂質ヒドロペルオキシドの還元処理に好都合である。cGPx とPHGPx の腺特異的な分布は,唾液分泌能に依存する酸素消費量の違いやPHGPx アイソザイムの分布差から生じるものと考えられる。さらに,唾液腺のcGPx とPHGPx は抗酸化酵素として役割を分担しながらヒドロペルオキシドの消去を担っており,cGPx は細胞質で生じる水溶性ヒドロペルオキシドを,PHGPx は細胞内の種々の場で生じるリン脂質ヒドロペルオキシドを還元処理していることが示唆された。
- 朝日大学の論文
- 2008-06-20
著者
-
亀山 泰永
朝日大学歯学部口腔構造機能発育学講座口腔生化学分野
-
八代 耕児
朝日大学歯学部口腔構造機能発育学講座口腔生化学分野
-
神谷 真子
朝日大学歯学部口腔構造機能発育学講座口腔生化学分野
-
八代 耕児
朝日大学歯学部 口腔生化学講座
-
藤田 厚
朝日大学歯学部口腔構造機能発育学講座口腔生化学分野
-
北村 圭司
朝日大学歯学部口腔構造機能発育学講座口腔生化学分野
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