3. 植物寄生菌類の真空乾燥(シンポジウム「凍結及び乾燥による菌株の保存」の講演並びに討論要旨)
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概要
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一般に糸状菌類の胞子,とくに不完全世代の分生子は形態が多種多様であり,形態により凍結や乾燥に対して感受性の異なることが予測される.しかし実際にはある種の胞子型,例えばtetraradiate型やhelicoid型の分生子,またはPhytophthora, Acremoniellaなどのような大型薄膜の分生子などで耐性の乏しいものがあるが,とくに形態と感受性に強い相関が認められない.むしろ凍結や乾燥による保存が困難な場合の多くは,胞子を全く形成しないものや形成量の少ないもの,本来発芽が希にしか起らないもの,あるいは鋸菌類のようにcold induced dormancyが起ることで見かけ上感受性となるもの,などである.Ustilago, Doassansia, Graphiolaなどの黒穂菌類,Exobasidium(もち病菌)などの担子菌類,Taphrinaのような子のう菌類は,自然界で見られる胞子型は雑菌汚染が著しく純粋培養ではこれら胞子型は再現できないが,培地上でほぼすべての栄養体がyeast-likeの無性胞子となり,しかも乾燥や凍結に対する耐性がきわめて高いので保存が容易である.L乾燥では3〜5年後でも生残率がきわめて高いことが確認されている.本来発芽が希な菌類や胞子形成の見られない菌類については,発芽方法や胞子形成方法の検討が先決であり,鏡菌類についてはheat shockによりcold induced dormancyを打破できることがすでに知られているので,当面の問題点は胞子形成量の少ない菌株について,いかにこれを多くするかということであろう.ここでは植物寄生性Fusarium菌16株(4種12分化型)についてL乾燥による保存を試み,保存による生残菌数の変化を分生子形成量との関連において検討した.
- 低温生物工学会の論文
- 1975-08-10
著者
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