19.凍結乾燥精製血清の保存試験(10周年記念号)
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概要
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治療血清の凍結乾燥は古くから実用に供せられ,保存後の力価も長期にわたり安定である.Flosdorfによれば馬血清ジフテリア抗毒素を凍結乾燥し,37℃に保存し力価を測定したところ,含水量が0.5%以下のものでは3年間大差がなかったが,含水量5〜8%のものでは,6週後には液状の対照に変化がなかったのに反して,550u/mlのものが45u/mlに低下したことを報告している.このことから,比較的安定な血清でも含水量が多いと,溶解速度や溶解度が低下して試料に損失が起こることを指摘している.また,安藤らは凍結乾燥破傷風血清を5〜10℃において4年間保存したところ,13〜16%の抗毒素価の減弱を示すことを報告した.さきに安達らは血清の凍結乾燥において,乾燥後の溶解時間が著しく延長するので,グリシンおよびグルタミン酸ソーダを添加することにより短縮することを報告した.現在グリシン添加精製血清が実用に供せられているので,グリシン添加乾燥血清につき保存試験を行なったところ,以下にのべる結果をえたので報告する.
- 低温生物工学会の論文
- 1969-09-30
著者
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安達 秀雄
日本ワチン株式会社那須研究所
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斉藤 勝
東大医科学研究所
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沢井 芳男
東大医科学研究所
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安達 秀雄
日本ワクチン株式会社那須研究所
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栗林 久之輔
東大医科学研究所
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福山 民夫
東大医科学研究所
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