2007年新潟県中越沖地震の地震活動の特徴と地質学的要因について(<特集>島弧の深部構造-地質・地震・地震波トモグラフィによる解析(II))
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概要
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2007年7月13日に発生した2007年新潟県中越沖地震について,震源データと気象庁による発震機構解の解析結果をもとに,震源分布と発震機構,およびそれらと地質との関係について検討した.2007年新潟県中越沖地震の震源域は,余震の3次元分布から,上に開いたロート型の分布形態の震源分布セグメントI.中央部ほど発生深度が浅いドーム型で直交する2方向の地震の多発面を伴う震源分布セグメントII,北東-南西方向に長い楕円体の上半部の分布形態の震源分布セグメントIII,ほぼ南北方向に伸びるゾーンの震源分布セグメントIVの,4つの震源分布セグメントに区分できる.求められている30のメカニズム解は逆断層型のものが多いが,震源分布セグメントIIでは,水平方向にT軸およびP軸が配置する正断層型ものがある.震源分布セグメントIIIでは,初期の4つのすべてが正断層型である.このことは,地震の発生初期には上下方向の応力が働いていたことを示している.震源分布セグメントI〜IIIと震源分布セグメントIVとの間には,北東-南西方向で北西に50°前後傾斜する幅約1.5kmの地震の発生頻度のきわめて低いゾーンがある.このゾーンは,本震のアスペリティの分布にほぼ一致する.従って,これらのアスペリティに対応する地震の発生頻度のきわめて低いゾーンは,硬くて脆性的な岩質の地質からなっている可能性がある.震源の三次元分布は,基盤岩類の岩相分布や地質構造と調和的で,地質の差異が地震の発生に密接にかかわっている.トモグラフィーによる速度構造と合わせて考えると,2007年新潟県中越沖地震の発生は,マントル上部から下部地殻に上昇する溶融体によって上部地殻下部が押し上げを受けることによると考えられる.
- 2009-09-25
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