後大脳動脈の脳血管写的検討(中枢と末梢の循環,<特集>脳と神経の研究VII)
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概要
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脳血管撮影は脳腫瘍,脳血管障害をはじめさまざまの頭蓋内疾患の形態的,ときには機能的診断をする上に今や欠くことのできないものとなっている。1927年,Egar Monizが初めて成功してから40余年,手技,造影剤の改良,麻酔の進歩に伴い,近年ますます普及化の一途をたどっており,この分野での研究も数多く報告されている。しかしながら,従来後大脳動脈に関する報告はきわめて少ない。今回は1)正常剖検脳を用いてその走行を検討し,2)正常脳血管写上,後大脳動脈の計測を行ない,その正常値を求め,3)異常例での測定値と比較し,今回得た正常値は診断上きわめて有用であることが明らかにされた。すなわち,1)正常脳血管写をもとにして後大脳動脈の走行を検討し,計測し,その正常値を求めた。その結果はTable 11のごとくである。中脳片側幅,P_2-T・L間距離については10才未満群は成人群とは明らかに異なっていた。また,アンギオグラフ上の前後像の値は実際の40%ほど拡大されている。2)異常群では,i中脳付近腫瘍では四丘体槽片側幅が増大しており,腫瘍による圧排を思わせる。ii第4脳室内腫瘍では中脳水道以上の拡大の程度により前後像における各値は異なってくるものと思われる。側面像においては上方凸形に伸展している。iii水頭症では交通性か非交通性かを鑑別する上に後大脳動脈はきわめて大きな意義をもつものと思われる。
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