経営者教育と経営実践(第1報告,第3セッション【経営者教育】,日本企業の経営実践と経営教育)
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概要
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「経営者教育」という場合、「経営者になるための教育」「経営者を育成するための教育」という意味合いで用いられることが多いが、本報告では、役員クラスを対象にした「経営者を対象とする教育」という視点から、ある種の人間教育・人格教育としての経営者教育の重要性を指摘した。近代社会・近代科学における専門主義、効率至上主義、市場原理主義の横行により地球環境問題、企業不祥事、各種の格差問題、メンタルヘルス問題など、もはや放置できないレベルにまで問題は深刻化してきている。こうした中で企業や各種組織を率いる経営者には単なる専門的知識やテクニカルスキルを超えた人格的高潔さが求められている。もちろんMBAで行っているような専門的知識やスキルの習得を中心としたビジネス教育も課長や部長クラスに対する教育として一定の意味を持っている。「MBAが会社を滅ぼす」というミンツバーグの主張はMBAの意義を不当に低く評価している。経営の実践においては、対立する要求や価値に直面することはほとんど避けられないことである。こうした状況に直面した場合、安易に二者択一的な対応をしたり、妥協に走るのではなく、両方の価値を取り入れるパラドキシカルな対応をすることが重要である。「一流の知性と言えるかどうかは、2つの対立する考え方を同時に受け入れながら、それぞれの機能を発揮させる能力があるかどうかで判断される」というフィッツジェラルド(F.S.Fitzgerald)の含蓄に富む言葉を忘れてはならない。
- 2009-06-26
著者
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