受講者からみた統計学総論B : 授業評価アンケートをもとに
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概要
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本報告は,1993年度,1995年度,1996年度に著者が流通経済大学にて担当した統計学総論Bの受講者による授業評価の結果を分析したものである。受講者は,テキスト,教員の話し方,教員の板書,授業の進め方,練習問題の内容,練習問題の実施,実習の実施,授業のペース,授業の内容・程度,授業への満足度,自己申告による出席率,以上11の項目について5段階評価を行なった。分析にあたり,80%以上の回答者がふつうかそれ以上と答えた項目は受講者から受け入れられているとみなし,20%以上の回答者が否定的に答えた項目は受講者から受け入れられていないとみなすことにした。主な結果は以下の通りであった。(1)1993年度においては,実習,ペース,内容・程度,の3項目が受け入れられていなかった。また,出席率も20%以上の回答者が悪かったと自己申告していた。しかし1995年度には,出席率が悪かったと申告した回答者の割合は20%をきった。1996年度においては,実習も受け入れられるようになり,依然として否定的な回答者が多かったのはペースと内容・程度の2項目だけであった。(2)アンケートは,1993年度と1995年度が無記名式,1996年度が記名式で行なわれた。そこで,1996年度については,自己申告による出席率と実際の出席回数との比較が可能になった。独立性の検定の結果,自己申告による出席率は実際の出席回数と独立ではなく,実際の出席回数を反映した自己申告であることがわかった。(3)年度間の比較を項目ごとに行なった結果,テキスト,進め方,実習,自己申告による出席率において有意差が認められた。このうち,テキストは1996年度の評価が高く,また自己申告による出席率は1996年度が低かった。これらは,1996年度のアンケートが記名式であったことによるものと推察される。次に,実習については年々受け入れられるようになっている傾向が顕著に認められた。進め方については一貫した傾向は認められなかった。(4)各項目をペアにして,二つの項目への回答を分割表にして独立性の検定を行なった。特に,自己申告による出席率,満足度,内容・程度,ペース,実習に注目し,これらと関連性の認められた項目について,その関連性の傾向を分析した。まず満足度については,話し方,進め方,練習問題の内容についての評価が高い人ほど満足度が高かった。また,ペースは進め方と関連しており,ペースが速いと感じている人ほど進め方が悪いと思う傾向があった。そして,実習の実施は,練習問題の実施に賛成の人ほど賛成する傾向があった。出席率および内容・程度については,一貫して強い関連性がみられる項目はなかった。今後の課題として,理解度に関する項目の追加が提案された。
- 流通経済大学の論文
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