統計学総論Bにおける出席回数と定期試験の得点
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概要
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本報告は,流通経済大学経済学部において著者が担当した1988年4月から1993年3月までの5年度分の統計学総論Bの受講者1842名について,その出席回数と定期試験の得点が示す特徴を報告したものである。分析は次にあげる4つの観点から進められ,以下のような特徴が観察された。(1)出席状況については,全ての年度を通じて,前期の出席回数と後期の出席回数の間に正の相関がみられた。また,初年度と2年目以降とでは,出席傾向に若干の違いがみられた。初年度である1988年度Aの場合,前期は出席回数が0回の者が最も多く,続いて1,2,3回の者の順であったが,後期は出席回数が0回の者に続いて3回の者が多く,次に1回の者,2回の者となっていた。同様の傾向が1988年度Bでもみられた。一方,1989年度以降は,前期,後期ともに1988年度の後期に近い傾向が観察された。すなわち,出席するタイプと出席しないタイプとに二分化する傾向が,1988年度は後期だけでみられたのに対して,1989年度以降は前期の段階から二分化の傾向が観察された。(2)定期試験の得点については,全ての年度を通じて,前期の得点と後期の得点の問には弱い正の相関がみられた。また,1988年度に並行して開講されたAとBのクラスでは,後期の得点において有意な差がみられた。これは再履修者の占める割合がAよりもBで高かったためと推測された。(3)出席回数と定期試験の点数の対応関係について,全ての年度を通じて弱い正の相関がみられた。概して,出席回数が半分をこえる者は,平均的にみて偏差値が50を超える得点をしていることが観察された。(4)1989年度から実施されたカリキュラム変更の影響について,出席回数という点からは,後期に一度も出席しない者の割合が,カリキュラム変更後は相対的に減っていた。定期試験の得点については,カリキュラム変更前は「前期の失敗を後期で挽回するタイプ」が「前期にうまくいって後期に失敗するタイプ」よりも多かったが,カリキュラム変更後はこの関係が逆転した。また,カリキュラム変更後,前期試験を受験しておきながら後期試験を放棄する者,すなわち,「やってみてだめならあきらめるタイプ」と「やればできるのにあきらめるタイプ」が両方とも増えた。これらは,選択科目になったことで,統計学に執着しなくてもよくなったことを反映した結果であることが指摘された。
著者
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