浜松の産業集積と環境変化への適応能力 : 「産業集積生態論」の視点より
スポンサーリンク
概要
- 論文の詳細を見る
本研究は、浜松の産業集積が様々な危機、例えば、昭和恐慌、第二次世界大戦、そして1980年代からの円高、などをどのように、又、何故に克服できたかを調査することにある。同集積は、日本の中で優れた産業集積の一つに数えられているが、それは綿織物、織機、楽器、二輪車、四輪車といったリーディング産業を次々に生みながら発展してきているからである。同集積は、新市場の開拓や新製品の開発といったイノベーションを生み出すことにより危機を克服してきた。危機下にあって、集積内の競争者間、関係機関の間で協調が生まれ、倒産の危機に瀕した企業の救済が競争者により行われることすらあった。浜松の集積内でのイノベーションと協調は、集積が環境変化に伴う危機を克服する能力があることを証明している。言い換えれば、同集積は、環境変化に適応できる生態的能力を持っているように見える。しかし、産業集積の生態的能力を明らかにするには、より多くの実証的研究が必要である。
著者
関連論文
- 浜松の産業集積と環境変化への適応能力 : 「産業集積生態論」の視点より
- 環境変化と産業集積の適応能力 : 優れた産業集積の危機克服のメカニズム
- 行政組織の経営的改革への職員評価 : 静岡県職員への調査結果から
- 香港の産業集積と環境変化による危機の克服能力 (特集:イノベーションにむけて)