Aztekium属およびAriocarpus属植物(サボテン科)の地上部に含まれるフラボノール
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概要
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メキシコ原産のAztekium属およびAriocarpus属の5種のサボテン科植物、Aztekium ritteri, Aztekium hintonii, Ariocarpus kotschoubeyanus var. macdowellii, Ariocarpus agavioidesおよびAriocarpus scapharostrusの地上部に含まれるフラボノイドの分析が行われた。フラボノイドの分離はA. ritteriとA. kotschoubeyanus var. macdowelliiで行われ、合計7種類が得られた。このうち、A. ritteriから得られたフラボノイドはUVスペクトル、加水分解、LC-MSによる分子量の測定などからそれぞれ、Isokaempferide (Kaempferol 3-methyl ether, 1), Kaempferol (2), Quercetin 3-methyl ether (3)およびQuercetin 3-methyl ether 7-O-arabinosylgalactoside (4)と同定された。これらのフラボノイドのうち、後者(4)はこれまで自然界で報告のない新規の化合物であった。またわずか2種から構成されているAztekium属のもう一つの種、A. hinotniiのメタノール抽出物をペーパークロマトグラフィー(PC)および高速液体クロマトグラフィー(HPLC)で分析したところ、Quercetin 3-methyl ether 7-O-arabinosylgalactosideのみが検出された。一方、Ariocarpus kotschoubeyanus var. macdowelliiからは3種類のIsorhamnetinを基本骨格とする配糖体が分離され、それぞれ3-O-rutinoside, 3-O-rhamnosylgalactosideおよび3-O-digalactosideと定性された。また、Ariocarpus属の他の2種、A. agavioidesとA. scapharostrusの地上部のメタノール粗抽出物をPCおよびHPLCで分析したところ、上記配糖体のうちの前2者の存在が認められた。なお、Aztekium属植物に含まれるフラボノイドの報告はこれまでなかったが、Ariocarpus属植物については、A. retususからまれなポリメトキシル化フラボノールであるRetusine(5-Hydroxy-3,7,3',4'-tetramethoxyflavone)が報告されていたが、今回分析を行なった同属植物からは検出できなかった。
著者
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岩科 司
Tsukuba Botanical Garden, National Science Museum
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岩科 司
Tsukuba Botanical Garden National Science Museum
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