歯髄内石灰化物の形態,および組織学的観察
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概要
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本研究は,歯髄の石灰化物に関して年齢ごとの頻度を明らかにし,残存する変性細胞,細菌感染の観点から組織学的に観察し,歯周疾患との関連について考察を行った.観察材料は,年齢および性別の明らかな重度の歯周疾患による抜去歯を中心とした122歯である.歯髄の石灰化物はマイクロCTを用いて検出し,形態と頻度について検討した.次いで,得られた形態を根拠に,i)球形または楕円球,ii)穎粒状,iii)不整形の3種類に分類して,主にEPMAおよび透過型電子顕微鏡を用いて組織学的に観察を行った.その結果,全試料の約40%に石灰化物が観察され,組織学的に偽性象牙粒が観察された歯髄組織には,細菌の侵入によると考えられる炎症像や細菌の石灰化像,そして細胞組織の断片と考えられる像が観察された.また,扁平な1〜2μm細菌様構造が積み重なった像や,それが次第に大きな石灰化物へと進行する過程,さらに30〜40nmの微細な顆粒状石灰化物が集積して偽性象牙粒を形成している像が観察された.これらの結果から,石灰化物と重度の歯周疾患に罹患した場合の歯髄への細菌の侵入が示唆され,歯内歯周疾患合併症の処置と予後に関する有力な情報が得られたと考えられる.
- 特定非営利活動法人日本歯科保存学会の論文
- 2007-12-31
著者
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