社会福祉学と社会学の視点 : 新たな関係に向けて(社会学部設立40周年記念特集)
スポンサーリンク
概要
- 論文の詳細を見る
日本では、社会福祉学は社会学の一部門として発展してきた。しかし近年では、両者はもはや別々の独立した学問と見なされることが多くなっている。本稿は、日本の社会福祉学の発展をふりかえり、社会学が寄与した点を二点指摘する。第一は、1960年代の「生活」や「コミュニティ」をテーマにした社会学研究によって、従来は所得水準にのみ関心を集中していた社会福祉学が幅広く「生活問題」や社会環境の問題にも関心を広げるきっかけを得たことである。第二は、心理学的分析が支持されることによって臨床心理士の仕事が増えるように、政府が社会学的分析を採用すればソーシャルワーカーの雇用が増えるという関係にあることである。したがって、社会学的なものの見方が20世紀の日本社会に徐々に一般化するにともなって、公的機関で雇用されるソーシャルワーカーが増加していったと考えることができる。今後の社会福祉学において期待される社会学的視点を用いた研究例として、福祉国家の社会史的研究と、個別援助実践の民族誌的研究と、社会福祉行政の政策過程分析の3つを示した。
著者
関連論文
- 知的障害と絵記号(ピクトグラム) : 障害学の視点から
- 社会学の導入教育における授業連携に関する予備的調査研究(社会学部設立40周年記念特集)
- 社会学の導入教育における授業連携に関する予備的調査研究
- 社会福祉学と社会学の視点 : 新たな関係に向けて(社会学部設立40周年記念特集)
- 海外における地域移行支援の取り組みと日本への示唆(基調講演,学会フォーラム:地域移行支援の現状と課題)
- 障害学の課題と展望--アイデンティティのかく乱に向けて (シンポジウム 障害学と水俣学の交差点)
- 高林秀明著, 障害者・家族の生活問題:社会福祉の取り組む課題とは, ミネルヴァ書房, 判型:A5判, 総頁数:248頁, 発行年:2008, 定価 本体2,500円+税
- 後藤吉彦著『身体の社会学のブレークスルー : 差異の政治から普遍性の政治へ』
- 書評 高林秀明著 障害者・家族の生活問題--社会福祉の取り組む課題とは
- 社会福祉学と社会学の視点--新たな関係に向けて
- 障害者保健福祉施策の動向について思うこと
- 障害学のアクセス可能性--3つの知的障害研究を題材として (特集 障害学会第2回大会から)
- 書評 倉本智明編『セクシュアリティの障害学』
- メイン報告 「障害」概念の脱構築--「障害」学会への期待 (特集 障害学とはなにか--障害学会第1回大会企画から) -- (シンポジウム 「障害」概念の脱構築)
- 障害疑似体験の自省的考察:体験者と実施者の意識調査から
- 福祉政策論の日本的展開-- 「普遍主義」の日英比較を手がかりに (特集1:福祉社会学の日本的展開)
- 大学における福祉専門職教育 : 迷走する資格制度と養成課程
- イギリスにおける割当雇用制度と差別禁止法--グローバル化時代の要請 (特集 障害者権利法制定に向けて)
- 7 リハビリテーション再考--「障害の社会モデル」とICIDH-2 (特集 社会政策研究のフロンティア)
- 藤村正之著『福祉国家の再編成:「分権化」と「民営化」をめぐる日本的動態』
- 障害学 : 理論形成と射程(書評りぷらい)
- 障害者福祉改革と権利保障
- 「ノーマライゼーション」の初期概念とその変容(日本社会福祉学会第40回大会記念特集号)
- 障害の文化分析 : 日本文化における『盲目のパラドクス』
- 社会への提言--「ボランティア」の比較文化論-2-ボランティアの文化史
- 福祉のポストモダン--80年代福祉改革の底流
- 社会への提言--「ボランティア」の比較文化論-1-福祉人類学の視点
- 盲学校卒業生の生活実態および職業意識に関する調査の単純集計結果(資料)
- 社会福祉と社会統制 : アメリカ州立精神病院の「脱施設化」をめぐって
- 障害の文化分析--日本文化における「盲目のパラドクス」
- 盲巫女の入巫とカテゴリー変化 : 宮城県北部を中心として
- ブックガイド スウェイン他編著(竹前栄治監訳・田中香織訳)『イギリス障害学の理論と経験 : 障害者の自立に向けた社会モデルの実践』