27.阪神・淡路大震災における他民の被害軽減行動に関する研究
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概要
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1.研究の背景と目的 阪神・淡路大震災では、発災段階での初動対応が円滑に機能しないー方で、住民自身による被害の軽減活動が積極的に行われていた。そこで本研究では、被災地の住民が行った被害軽減行動(消防活動支援行動,救助・救出行動,応急救護行動)の促進・阻止要因を、神戸市の町通および住民自治組織という地区を単位として分析し、今後の自主肪災体制育成への基礎資料を得ることを目的とした。 2.研究の方法 本研究では、阪神・淡路大震災において被害が甚大であった神戸市沿岸6区(東灘区,灘区,中央区,兵庫区,長田区,須磨区)の115の町通を対象とし、発災当日に住民が行なった行動に関するアンケートを利用して、被災状況,従前の市街地状況等の指標を用いることにより、発災当二日に住民がとった被害軽減行動の要因を探った。また同時に、日常の住民間の交流状況が被害軽減行動に与える影響について把握するため、63の住民自治組織を対象とし同様の分析を行った。 3.研究の結果 全般的に、三種類の被害軽減行動の相互には関連性が見られた。また各行動は被災状況に応じて住民同士の連携,分担のもとに行われていると見なすこともできた。消防活動支援に関しては、大規模焼失地区からの距離が行動を促す他、地区特性として住民に占める中高年層の割合が高い地域において活発に実施されると考えられた。救助・救出では死者発生率や戸建住宅全壊率等の被害状況の他、小規模商業施設等と住宅の混在地域ほど行動が促される傾向が見られた。一方、中規模住宅の割合が高い地区ほど救助・救出が抑制されるという関係も見られた。応急救護では、救助・救出行動と同様に火災からの距離の他、地区内に65歳以上の高齢者が多く居住し、地区内に病院があることが住民の行動を促進させたと考えられる。また、地域活動充実度という新たな指標による住民間の交流状況を加味した分析では、消防活動の支援や応急救護等ある程度組織的な活動が必要とされる場合に、地域活動充実度が促進要因と考えられるももの、救助・救出では統計的に見て地域活動充実度が行動を促す要因とは言い難いことが指摘できた。 4.研究の結論 被害軽減行動に共通して言えることは、地域が受けた被災状況に対応して住民の行動も促進されるという点である。しかしながら、災害の種類によっては住民の反応も異なり、同一の市街地状況下においても行動従事率の増加傾向と減少傾向の双方が見られる場合もあった。とくlこ、火災については被害が拡大するため、その規模および距離が住民の行動従事率の増加に影響を及ぼす一方、それは直線的に増加するものではなく、一定規模以上の被害に対しては逆に行動を抑制する傾向も見られた。また、日頃からの住民間の交流状況がもたらす影響については、消防活動支援行動に見られるように、多くの人員と適格なリーダーが必要な場合にその影響を見ることができた。
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