39.阪神・淡路大震災 : 復旧期の神戸市における情報需給バランス
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概要
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1.研究の背景・目的・概要 1995年1月17日の未明に発生した「平成7年(1995年)兵庫県南部地震」は、高架道路・鉄道,建築物等の物的施設に甚大な被害をもたらすとともに、戦後最大の人的被害と百万人以上の被災者を生み出した。発災直後から被災地での食料や生活必需品等の不足が伝えられたが、被災者にとっては必要な情報の入手困難や不足も大きな社会的問題となった。そして、情報の不足は多くの混乱をもたらし、この混乱は発災から1週間以上を経過した震災復旧期においても見られた。情報伝達手段が地震によって途絶もしくは制約された中で、大量に発生した被災者に正確かつ迅速に十分な情報を伝達するかが大きな課題となった。そこで、本研究では、これまでの災害情報の研究ではあまり取り上げられなかった災害復旧期の情報需給バランス-伝達された情報と必要とされる情報との整合と不足-に焦点をあて、神戸市を対象として、情報の受信側[被災者]と情報の発信側[神戸市,新聞]とのギャップを明らかにし、今後の災害情報のあり方を検討するための基礎的な示唆を得ることを目的とした。研究の概要は以下のごとくである。情報受信側については、住民アンケート調査と神戸市における市民電話相談の受付内容を用いて、復旧に関わる様々な情報を被災者がいつ,どのように利用したかについて、被災者の属性との関連で整理・分析した。一方、情報発信側としては、被災地で発行されている新聞と神戸市の広報紙に着目し、これらと神戸市のプレス発表の内容とその時期について比較分析をおこなった。そして、両者の情報需給バランスを分析した上で、災害復旧期における情報発信側の効率的な伝達手段について提言をおこなった。 2.研究の結論 本研究の結論は以下の3項目にまとめることができる。 (1)阪神・淡路大震災のような激甚な災害の場合、自宅崩壊等の激烈な被害を受けた世帯と直接的な被害がほとんど無い世帯との情報ニーズの乖離は大きく、肌理細かい情報発信が必要とされる。 (2)行政広報紙は、被災者への情報を網羅しようとする姿勢はあったものの、発行間隔や紙面量等の課題を抱えており、新聞社と非常時の紙面提供等の協定を事前に結び、短い時間間隔で十分な紙面量を確保することが望まれる。 (3)地元紙の情報発信は、様々な被災状況を持った多様な被災者のニーズにも応えることが望まれる。
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