14. 大規模災害時の危機管理に関する考察

元データ 地域安全学会

概要

近年,「危機管理」という言葉が,緊急時の組織対応のあり方を議論する上でのキーワードとして,取り上げられるようになってきており,防災の分野でも使用されるようになってきている。しかしながら,実際の大規模災害時の災害状況に即して考えた場合,「危機管理」概念が,どのような意義を有しているかの検討は十分とはいえない。本研究ではこのような状況をふまえ,大規模災害時の市町村の応急活動状況に照らして「危機管理」の内容とその意義及び危機管理システムの要件等について考察している。本研究では,以下の点を明らかにしている。1.大規模災害時の危機を「無策のまま放置すれば極めて近い将来大きな人的・物的被害を生ぜしめるあるいはそのような事態に結びつく可能性を有した事態(状況)」と定義し,大規模災害時の危機管理の内容として,(1)危機の把握 (2)危機の評価・進展予測 (3)対策(対処計画)の立案・決定 (4)対策の実施(手段の動員と適用) (5)対策実施結果の評価 (6)上記活動の統制 が適当であること,また,このことから,大規模災害時の危機管理の本質は,『危機(の把握・評価・進展予測)に能動的に関わり,状況を能動的に切り開く』ことであること2.過去の大規模災害時の応急対策上の主たる問題が上記の危機管理の内容に係わるものであり,特に,危機の把握・評価・進展予測に係る問題が防災関係者に状況あと追い的活動を余儀なくしていること及びこれらの結果から,上記の危機管理の内容が現実の大規模災害時において妥当性と積極的意義を有すること3.大規模災害時の危機管理を行うために必要となる危機管理システムは,機能面から,前述の危機管理の内容に対応したサブシステムが必要であり,特に,「危機の把握システム」,「危機の評価・進展予測システム」が重要であること。また,システムに要求される信頼性・有効性として,(1)堅牢性 (2)冗長性 (3)早期修復性 (4)能力(容量)的適合性 (5)時間的適合性 が重要であること

著者

日野 宗門 (財)消防科学総合センター
日野 宗門 財団法人消防科学総合センター

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