ニッケルチタンファイルMtwo^[○!R]の湾曲根管に対する切削特性

概要

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根管の移動(apical transportation)を回避しつつ効率的に根管形成を行うことを目的として,各種ニッケルチタン(以下,Ni-Ti)ファイルを用いたさまざまな形成法が提唱されている.Mtwo^[○!R](VDW,Germany,以下,Mtwo)はS型の刃部断面形態を有する二枚刃のNi-Tiファイルであり,先端径の細い器具から太い器具の順に作業長まで使用することを使用手順の特徴とする.本研究では2種の形態の透明根管模型を用いてMtwoの切削特性を解析した.すなわち,Mtwo,K3^[○!R](SybronEndo,USA,以下,K3),ProTaper^[○!R](Dentsply-Maillefer,Switzerland,以下,ProTaper)を用い,J型(湾曲30℃,Zipperer,Germany)およびS型(二重湾曲根管,Dentsply-Maillefer)のエポキシレジン製透明湾曲根管模型各24本を,以下の手順(それぞれ使用ファイル4本,最終先端サイズ#25)で同一の術者が形成し,切削時間を計測した.・K3 : 25/08,30/04(挿入可能なところまで),25/04,25/06(作業長まで)・ProTaper : S1,S2,F1,F2(すべて作業長まで)・Mtwo : 10/04,15/05,20/06,25/06(すべて作業長まで)次いで,形成前後のデジタル画像を重ね合わせ,J型模型では根尖から1,2,3,5mmの位置,またS型模型では歯冠側および根尖側の湾曲部変曲点における根管幅径増加量(形成前の根管壁から形成後の根管壁までの距離)を,外湾側,内湾側について計測した.その結果,Mtwoは,ProTaperとK3に比較して内湾側の切削量が大きく外湾側が小さい傾向を示した.すなわち,J型模型における根管幅径増加量は,内湾側ではMtwo>ProTaper>K3,外湾側ではK3>ProTaper>Mtwoとなる傾向がみられた.一方,S型模型における根管幅径増加量は,歯冠側の内湾側ではMtwo,ProTaperがK3より有意に高値であり(p<0.05,一元配置分散分析およびBonferroni-Dunn検定),また根尖側の内湾側ではMtwoとK3がProTaperより大きい傾向がみられた.外湾側では,歯冠側,根尖側ともK3>ProTaper>Mtwoとなる傾向を示した.形成時間は,J型では有意差が認められなかったが,S型では,MtwoがK3と比べて有意に短時間であった(p<0.05).以上より,MtwoはProTaper,K3と比較して湾曲根管根尖部の内湾側を多めに切削するという特性を有すること,およびこの性質が二重湾曲根管の効率的形成にある程度貢献しうることが示唆された.
2008-10-31

ニッケルチタンファイルMtwo^[○!R]の湾曲根管に対する切削特性

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