う蝕象牙質の硬さ測定のための新しい試み

概要

論文の詳細を見る
う蝕の治療に際し,う蝕象牙質の硬さはきわめて大切な情報の一つであるが,臨床の場でう蝕象牙質の硬さを求める方法はない.本研究では,新たに試作したハンディー型タグバック測定器を用い,う蝕象牙質の硬さを調べる新しい方法を考案し,その臨床応用の可能性について検討した.抜去歯を用いそのう蝕部分を露出させた平滑な面を作製し,タグバック測定器の圧子に150gwの荷重を加え,う蝕象牙質の任意の23カ所に圧痕を付与した.圧痕幅(μm)はデジタル顕微鏡で,ヌープ硬さ(KHN)は微小硬度計で測定した.その結果,圧痕幅とヌープ硬さの相関性をグラフにすることができた.別の抜去歯を用意し,う蝕象牙質をスプーンエキスカベーターで除去した後,同様にタグバック測定器を用いて圧痕(7カ所)を付与した.圧痕の精密印象を採得し,レプリカモデルを作製した.レプリカモデルで圧痕幅を測定し,その平均値を求めた.先に得られた圧痕幅とヌープ硬さの関係を示すグラフを利用して,ヌープ硬さに換算したところ22.5KHNとなった.一方,その象牙質の真の硬さを微小硬度計で測定したところ21.1KHNとなり,両者の値はきわめて近似していた.この結果,硬さ未知のう蝕象牙質のヌープ硬さは,レプリカモデルとグラフを利用して求められることが示唆された.今回われわれが考案した方法は,臨床にそのまま応用が可能であると思われる.
特定非営利活動法人日本歯科保存学会の論文
2008-10-31

う蝕象牙質の硬さ測定のための新しい試み

スポンサーリンク

概要

著者

関連論文

スポンサーリンク