工芸染色における簡便手法 : 反応染料による捺染

概要

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本報は,市販の合成染料を利用して,初心者でも簡単に,失敗しないで綿や麻の植物繊維の布を染色する方法として,部分的な染めである手描き染めと型染めで,染め上がりの出来にどのような手順・方法が効果的で,簡便な色表現になるかを検討した。その結果を要約するとつぎのようになる。1)M社の反応染料を利用する場合は,先に染料を布に塗り,乾燥後,その染料の上へ定着液を上塗りする方がにじみが少ない。M社が示しているにじみ防止剤使用濃度の30%よりも,濃度50%で使用する方がにじみ防止効果がみられる。2)T社の地入れの濃度は,布の風合いや色ののり具合から10〜20%(メーカーの使用説明濃度〜やや濃い)が適している。にじみ防止は,他の助剤を使用しないでアルギンペーストFの濃度を増すことでよい。T社の反応染料を利用する場合は,先ににじみ防止液を塗り,乾燥後,染料を塗る方がにじみは少ない。3)防染糊は,染料の種類によって使い分ける必要はない。市販の糊は手軽に使える。手作り糊は作業時間を要するが,布への糊置き後の乾燥が早い。