「年中行事」を生かした異文化理解教育 : 同志社大学留学生別科「日本事情」クラスでの実践例
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概要
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日本事情科目「日本の生活」の授業で,「年中行事」を取り上げた。学習者が母国文化と対照して考察する中で,日本文化理解を深めることを授業の目標とした。伝統的な行事を季節を追って紹介し,現代の生活との関連を考えるように授業を組み立てた。各行事の由来や,行事にまつわる衣食住の約束ごと,民間伝承などについて説明した。伝統のある京都で学ぶメリットを活用すべく「年中行事」を教材にし,実地見聞を指導した。実際に体験できる機会が多く,関心をもって能動的に学習できた。一方的な講義に終わらせず,学習者には母国の行事と,各月のトピックに沿った母国文化について紹介してもらった。意見交換のなかで,民族を超えた普遍性,文化の違いなどについて話し合った。率直な感想や,素朴な疑問が出され,日本文化だけでなく,学習者間の異文化相互理解にまで発展できた。後作業として書く活動は,学習者が比較内省を通して,母国文化を再認識することにつながった。「日本事情」教育では,学習者の日本語能力と教育内容のバランスの問題がある。学習者の理解語彙の水準を見ながら,各自の持つテーマと関連づけていくような配慮が必要である。提出シートに書かれた内容に,コメントを付記することによって個別の問題意識に対応した。
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