アカスジカスミカメの交尾行動と産卵特性
スポンサーリンク
概要
- 論文の詳細を見る
アカスジカスミカメの性フェロモンを利用した発生予察・防除技術を開発するための基礎的知見を得ることを目的として,実験室(25℃,16L8D)における本種の交尾行動と産卵特性について調査を行った.交尾成立までの雄の求愛行動は,(1)雌への接近,(2)触角で雌に触れる,(3)マウント,(4)交尾器の挿入,の4つの段階に分けられ,明期および暗期でその違いは観察されなかった.また,未交尾の雌雄を対にしてから求愛行動開始までの平均時間および交尾の所要時間も明期と暗期で差はなかった.これらより,近距離で雄が雌を認識する際,視覚以外の因子も利用している可能性が示唆された.雌の羽化後日数と交尾行動の関係を調査した結果,雌の成熟に伴って,求愛行動を行った雄率と雌の交尾率が上昇した.羽化6日後に初交尾を行った雌は,その後の3日間に再度交尾を行わなかった.交尾雌および未交尾雌の間で産卵前期間,総産卵数には有意な差は認められなかったが,生存期間は未交尾雌が有意に長い傾向が認められた.雌が産下した卵の受精率は99%であり,本種の雌は生涯につくる卵を受精するための十分な量の精子を1回の交尾で受け取っていることが示唆された.
- 2009-02-25
著者
-
奥谷 恭代
鳥取県農林総合研究所農業試験場
-
渡邊 朋也
農業・食品産業技術総合研究機構中央農業総合研究センター
-
東 政明
鳥取大学大学院連合農学研究科
-
渡邊 朋也
農業・食品産業技術総合研究機構・中央農業総合研究センター
-
奥谷 恭代
鳥取県農林総合研究所農業試験場:鳥取大学大学院連合農学研究科
-
東 政明
鳥取大学大学院 連合農学研究科
関連論文
- C223 クモヘリカメムシ越冬成虫の耐寒性
- アカスジカスミカメの交尾行動と産卵特性
- H206 アカスジカスミカメの性誘引フェロモンの同定
- A44 ウンカ類の移動予知システムモデル(発生予察・被害解析)
- イネ科牧草・雑草上におけるクモヘリカメムシとホソハリカメムシの発生動態
- スギ花粉症緩和米の安全性確保への取り組み : 大規模隔離ほ場栽培と生物多様性影響評価
- C201 アカスジカスミカメ交尾雌と未交尾雌の産卵特性(一般講演)
- B26 東シナ海洋上と北部九州におけるイネウンカ類の飛来についての同時調査(生活史・分布)
- F310 フィールドサーバによるクモヘリカメムシの日周活動と環境情報の同時収集
- C216 クモヘリカメムシ越冬世代の移動開始時期に影響する要因(一般講演)
- G205 クモヘリカメムシ成虫の休眠誘導における光周反応と酸素消費量(一般講演)
- G203 水田におけるクモヘリカメムシ卵期の死亡要因(一般講演)
- G202 クモヘリカメムシ発生予察への合成誘引剤トラップの応用(一般講演)
- K209 長距離移動性水稲害虫の被害解析 5.安定同位体^Cを利用したイネウンカ類による加害の定量化(発生予察・被害解析)
- 作物形態のモデル化とその応用
- C215 フライトミルを用いたアカスジカスミカメの飛翔能力の測定
- C214 アカスジカスミカメの交尾行動
- F309 福島県におけるクモヘリカメムシの発生生態
- F308 越冬後のクモヘリカメムシ成虫における生殖腺発達の開始と環境要因との関係
- F302 アカスジカスミカメ未交尾雌トラップによる雄の誘殺消長
- アワ幼植物を用いたアカスジカスミカメの簡易飼育法
- C214 フライトミルを用いたクモヘリカメムシの飛翔能力の測定(一般講演)
- C213 クモヘリカメムシ合成誘引剤に誘引された個体の羽化後日齢の推定(一般講演)
- C215 クモヘリカメムシ成虫の休眠覚醒における環境要因の影響(一般講演)
- 長距離移動性イネウンカ類の被害解析 : III.セジロウンカ幼虫による吸汁加害の定量化
- 長距離移動性イネウンカ類の被害解析 : II.分光反射率を利用したセジロウンカ飛来成虫による水稲初期被害の回復過程の測定
- 長距離移動性イネウンカ類の被害解析 : I.セジロウンカの加害時期および加害量が水稲の生育および収量に与える影響
- D10 長距離移動性水稲害虫の被害解析 : 3.トビイロウンカによる吸汁害の定量的評価法(被害解析)
- B47 長距離移動性水稲害虫の被害解析 : 1.セジロウンカによる被害実態(発生予察・被害解析・耐虫性)
- 害虫名称検索システム--PHP3による実装 (第2回農業情報研究会(1999.11.29〜30)特集)
- B36 ハスモンヨトウに対する大豆の耐虫性について(寄主植物選好性・耐虫性)
- G201 アカスジカスミカメ雌成虫の交尾経験および日齢が雄成虫に対する誘引性に与える影響(一般講演)
- H215 アカスジカスミカメ雌成虫による雄成虫の誘引作用について(生理活性物質 飼育法 栄養学)
- S023 鳥取県におけるアカスジカスミカメの発生状況と生態(斑点米カメムシ類問題を考える-アカスジカスミカメの分布拡大と生態-)
- G312 アカスジカスミカメに対する粒剤の散布適期(斑点カメムシ)
- B227 育苗箱施用剤を利用したイネシンガレセンチュウの防除(ダニ・クモ線虫)
- J113 長距離移動性水稲害虫の披害解析 : 6.コブノメイガの加害形態と被害解析の手法(発生予察 被害解析 昆虫病理学 微生物的防除)
- 後腸の水代謝とアクアポリンの役割 : 鱗翅目幼虫が絶食に強いしくみ
- B201 クモヘリカメムシ成虫の生殖休眠の覚醒時期(生活史 分布)
- F318 長距離移動性イネウンカ類の個体群動態 V. 動態モデルとその応用(害虫管理・水田害虫・推定法)
- C31 長距離移動性ウンカ類の飛来量の全国分布と下層ジェットとの関係(生態学)