鷄卵孵化ノ化學的研究補遺 : 第一篇 鷄卵孵化時ニ於ケル乳酸,あせとあるでひーど,あせとん體ノ消長並ニ諸種含水炭素負荷ノ之ニ及ボス影響ニ就テ
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概要
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鷄卵孵化ノ化學的生物學的研究ハ古クヨリ行ハレタルモ,未ダ未開ノ領域ニ屬スルモノ多キヲ見ル.就中含水炭素新陳代謝ニ關スル文獻ハ誠ニ寥々タリ.含水炭素新陳代謝中間産物トシテ,酸素缺乏時ニ主トシテ産出セラルル乳酸,之ニ反シテ有酸素時ニ生成セラルルあせとあるでひーど並ニ不完全燃燒時ノ脂肪分解産物タルあせとん體ノ三者ハ,生活體新陳代謝ノ状况ヲ知ル上ニ重要ナル者タルハ多言ヲ要セザル所ナリ.而シテ鷄卵孵化時ニ於ケル是等三者ニ就テノ文獻ヲ求ムルニ,乳酸ニ關スル二,三ノ報告アルニ止マリテ,あせとあるでひーど,あせとん體ニ關スルモノハ全ク之ヲ見ズ.又含水炭素負荷鷄卵孵化時ニ於ケル之等新陳代謝中間産物ノ消長ニ關スル業績ハ,僅ニ葡萄糖負荷鷄卵孵化時ニ於ケル乳酸生成ニ就テノ研究アルノミ.余ハ鷄卵孵化時ニ於ケル以上三者ノ消長ノ檢索ヲ行ヒ,以テ鷄卵孵化時ノ含水炭素及ビ脂肪代謝ノ状况ヲ知ラントシ,更ニ諸種含水炭素ノ負荷ニヨリ生體内ニ於ケル是等ノ運命ヲ追及セントシ本實驗ヲ企圖セリ.鷄卵ハ名古屋こーちん種卵ヲ用ヒ,孵化ハ人工孵化法ニ依ル.實驗ノ結果一定ノ成績ヲ得タリ.今之ヲ要約スレバ次ノ如シ.1)新鮮受精鷄卵ニ於ケル乳酸,あせとあるでひーど,あせとん體及ビ葡葡糖ヲ測定セリ.新鮮受精鷄卵ニアリテハ,乳酸ハ平均15.9mg%,あせとあるでひーどハ平均0.04mg%,あせとん體ハ0.157mg%,葡萄糖ハ0.3%ナリ.2)新鮮受精鷄卵ヲ40℃孵卵器中ニテ5,10,15日間孵化セシメ,以上ノ物質ヲ第5,10,15孵化日ニ於テ測定セリ.3)第5孵化日ニ於テ乳酸ハ著明ナル増加ヲ來シ,増加ノ平均値ハ新鮮受精卵ノ400%ナリ.此ノ増加セル乳酸ハ孵化ノ經過中漸次減少ヲ來スモ第15孵化日ニ於テ正常ニ比シテ尚50.9%ノ増加ヲ示セリ.あせとあるでひーどハ孵化中増加スルモソノ量ハ僅少ナリ.あせとん體ハ孵化ノ後半期ニ著明ニ増加ス.葡萄糖ハ孵化中減少シ第15孵化日ニハ75.4%ノ減少率ヲ示ス.4)余ハ新鮮受精鷄卵ニ諸種含水炭素(葡萄糖,果糖,がらくとーぜ,あらびのーぜ,麥芽糖,乳糖,蔗糖,糖原及ビ澱粉)ヲ負荷シ,之レヲ孵化セシメ,乳酸,あせとあるでひーど,あせとん體及ビ葡萄糖量ノ消長ヲ實驗セリ.5)上述ノ操作及ビ諸種含水炭素ノ投與(鷄卵各1個ニ就キ6%溶液各0.5cm^3)ハ,鷄胎兒ノ發育ヲ阻害セズ.6)含水炭素負荷鷄卵ノ孵化時ニ於ケル乳酸量ノ消長ハ,一般ニ對照實驗ノ場合ト同樣ナリ.但シ第5孵化日ノ乳酸ノ増加ハ乳糖,麥芽糖,澱粉ノ負荷ノ場合ニハ比較的低ク,且是等含水炭素ノ分解モ亦比較的輕度ナリ.7)あせとあるでひーどハ一般ニ増加スルモ,ソノ増加度ハ含水炭素ノ種類ニヨリ異ル.がらくとーぜ,二糖類及ビ多糖類ノ負荷時ニ於ケルあせとあるでひーど生成量ハ他ノ糖類負荷ノ場合ヨリ少シ.8)あせとん體ハ同樣ニ孵化中増加ス.特ニ後半期ニ著明ナリ.9)含水炭素量ノ消長ハ,含水炭素ヲ負荷セザル鷄卵ノ孵化時ニ於ケルト殆ド同樣ナリ.
- 京都府立医科大学の論文
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