知的障害児の屈折異常に対する早期対応の現状
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概要
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知的障害児は,遠視や近視,乱視などの屈折異常が多く認められることが報告されている。屈折異常は矯正の時期が視覚発達の感受性期間を過ぎると視力発達を阻害し,他の視機能障害をもたらすことから,早期の発見と対応が重要である。そこで本研究では,知的障害児の屈折異常に対する早期対応の現状について明らかにすることを目的とした。本研究は,早期療育機関および保健所における知的障害児を対象とした屈折スクリーニングの一環として実施した。対象は知的障害児139名,年齢範囲は7ヵ月から12歳9ヵ月であった(平均年齢4歳2ヵ月)。その結果,以下のことが明らかになった。(1)スクリーニング検査において屈折異常が指摘された子どもの中で,眼科に通院したことがある子どもは,39.6%のみであった。(2)スクリーニング検査において屈折異常が指摘された子どもの中で,眼鏡を処方されていたのは2.2%のみであり,他の者は屈折矯正をされていなかった。(3)各年齢群の間には,屈折異常と診断された子どもの頻度に有意な差が認められなかった。(4)屈折異常のある知的障害児の中には4〜5Dの強い遠視や近視,乱視の者がいたが,それらの対象児はスクリーニングの実施以前には屈折矯正がされていなかった。以上の結果から,屈折異常のある知的障害児の多くが早期に適切な対応を受けていないことが明らかとなった。加えて,本研究の結果から,知的障害児にとって有効なビジョンケアーシステムをつくる必要性を強調した。
- 2008-03-25
著者
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