徒然草屏風の研究 : 「熱田屏風」と「上杉屏風」を中心に
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概要
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江戸時代には、木版印刷によってさまざまな文学作品が刊行されたが、それらの中でも徒然草は、わかりやすく教訓的な作品として、広く親しまれた。本文だけのものから、挿絵付きのもの、頭注付きのもの、詳細な注釈書など、徒然草はさまざまなスタイルで刊行されている。けれども、徒然草は文学作品として読まれただけではない。絵巻や色紙や屏風に描かれて、美術品・調度品としても鑑賞された。本稿では、描かれた徒然草の中から、熱田神宮献納・伝住吉如慶筆「徒然草図屏風」と、米沢市上杉博物館蔵「徒然草図屏風」の二点を取り上げる。このたび、詳細に現物調査することによって、描かれた章段を特定することができた。前者は徒然草から一連の仁和寺章段を抽き出して描いた屏風、後者は徒然草から二十八場面を描いた屏風である。この調査を踏まえて、それぞれの屏風の抽出章段の特徴や、図柄の描き方の特徴、屏風の制作目的などについても考察を加えた。さらに、絵巻や色紙に描かれる場合との違いを通して、徒然草が屏風に描かれることの意味と意義について考えてみた。
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