主要大都市圏の最近の人口移動動向
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概要
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2000年代に入り、主要大都市圏を取り巻く人口移動にはこれまでとは異なった様相がみられることを受けて、本稿では、関西圏を中心に東京圏、名古屋圏と比較しながら各大都市圏の最近の人口移動の動向と特徴を考察した。その結果、(1)2003年以降の最近5年間、各大都市圏が揃って純移動数の改善傾向と相対的に高水準の純移動数で推移していること、(2)転入・転出別にみると、純移動数の改善傾向は全体として転出数の減少が相対的に大きく寄与しているが、関西圏では転出数の減少のみの寄与であること、(3)発・着地別にみると、純移動数の改善傾向は非大都市圏への転出減や非大都市圏からの転入増が大きく寄与していること、(4)属性別には、高水準の純移動数は各大都市圏で異なった年齢層が寄与しているが、関西圏では20歳代後半以上の勤労層の純移動数の増加による寄与がみられないこと、(5)中心部・周辺部別には、純移動数の改善傾向は中心部と周辺部の改善及び中心部のより大きな寄与によっているが、転入・転出別にみると、特に関西圏中心部の純移動数の改善は転出減によるものであり、人口流入圏も縮小傾向にあること等、他の大都市圏中心部との人口吸引力格差が顕著であること、等が明らかとなった。以上のような人口移動パターンがこれからも継続するのか、あるいは一時的な動きにとどまるのか、今後の動向を注視する必要があるが、関西圏とその中心部の転出超過数が再び高水準で長期化することがあれば、圏域活力の一層の低下等につながるとともに、東京一極集中の一層の加速化等、国土全体の人口分布にも大きな影響を及ぼすことになる。今後、関西圏の純移動数の悪化の抑止や中心部の転入超過への転換等に向けては、新規産業立地を支援する事業環境の整備等による地域経済の活性化、都市生活の質的充実に資する各種都市機能の整備等の地域経営施策を進めることが重要な課題となる。
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