大都市圏中心都市の人口移動と都心回帰
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概要
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1990年代後半以降、主要大都市圏の中心都市とその都心部においては、人口移動パターンの面で大きな構造変化が生じている。これを受けて、本稿では、主要大都市圏の中でも特に長期にわたり大幅な人口の域外流出が続く関西圏の中心都市・大阪市を中心に、主要大都市圏の中心都市及びその都心区をめぐる近年の人口移動とその要因について考察した。その結果、(1)大阪市、東京都区部の近年の人口増加は社会増が大きく寄与しているが、それは、1990年代前半の移動状況と比べて、人口流入によるよりも、人口流出に歯止めがかかることによりもたらされている部分がきわめて大きいこと、(2)所在地方ブロックへの転出減が各中心都市全体の純移動の改善に大きく寄与し、特に大阪市では移動距離のより短い大阪府下への転出減が大きいこと、(3)大阪市、東京都区部では都心区の社会増が顕著であり、中心都市とは異なり人口流入の増加による都心回帰がみられること、(4)大阪都心区の転入超過は、中・四国地方を中心とした15〜24歳の若年層による遠距離流入と、若年層から中高年層までの幅広い年齢層による市内及び府下北部・東部地域からの近隣・近距離流入が大きく寄与していること、(5)大阪・東京の都心回帰の要因として、新規住宅の大量供給に加えて、高次都市機能の集積に基づく都心居住メリットの再評価とそれを促進させた社会経済環境の変化によるところが大きいこと、等が明らかとなった。今後、人口減少段階への移行等の中で、中心都市や都心区において過密の解消とゆとりの創出、住宅取得環境の容易化等が進み、また、都市再生に向けての地域間競争がさらに高まれば、利便性の高い都市生活を求めて中心都市や都心区への人口移動が高まると考えられる。その一方、多様な新規住民の流入による地域社会への影響や、圏域全体における中心都市と郊外拠点都市との機能分担をはじめとする都市構造への影響等が予想され、これらにどのように対応するかが今後の課題となる。
- 摂南大学の論文
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