大阪府の住民特性と地域構造
スポンサーリンク
概要
- 論文の詳細を見る
長期にわたり人口の域外流出や経済的低迷が続く関西圏の中で、特にその中心エリアとして圏域全体を牽引すべき役割を担う大阪府についてみても、全国平均を大きく下回る人口増加率が続くとともに、今後全国を上回るスピードで少子化・高齢化が進むと見込まれる等、地域活力の一層の低下が懸念される。こうした中で、大阪府の住民構成も大きく変化し、これが行政サービス需給や都市機能整備等にも影響を及ぼすことになると考えられる。このため、人口の地域的分布や住民構成の変化への対応は、大阪府や関西圏の今後の地域整備の方向を考察する上で重要な検討課題となる。こうした問題意識の下に、大阪府の住民特性とその地域構造を考察した結果、(1)住民特性からみて大阪府の市区町村は大きく六つの地域グループに類型化できること、(2)各類型の分布と地域ブロック区分等との相互関係からみて、概ね大阪市地域の内陸部と臨海部、東部地域、北部地域、南部地域、府下外緑部でそれぞれ固有の住民特性を持つ地域群が形成されていること、(3)その中でも特に北部地域と南部地域では、ウエイトは異なるものの全体としてみたクラスター構成は比較的類似した構造を持っていること、(4)東大阪地域や大阪市地域では、経済的都市機能の集積に応じた住民特性がみられること等の特徴が導出された。各市町村においては、地域社会の持続的安定性等の観点から、多様な社会経済的属性を持つ住民から構成される地域形成が望まれるが、そのためには多様でバランスのとれた都市機能、特に住民の日常生活と密着した生活関連諸機能の整備が重要になり、そのことが、定住魅力の向上とともに地域活力の創出等にもつながることになると考えられる。
著者
関連論文
- 主要大都市圏の最近の人口移動動向
- 大阪府の住民特性と地域構造
- 主要大都市圏の人口移動要因に関する一考察
- 大都市圏中心都市の人口移動と都心回帰
- 関西大都市圏の人口移動構造
- 行政サービスの供給主体に関する比較分析
- 広域行政サービス供給の消費者余剰分析
- 人口移動に関する三大都市圏の比較分析
- 行政サービス圏域の広域的枠組みに関する一考察
- 広域行政と関西大都市圏
- 関西大都市圏の構造変化
- 関西大都市圏の都市機能分析 : 多核的都市構造の視点から
- 市町村合併と行政サービス供給