水環境でのハエの生態 : ハエは水ぎわで殺せ
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概要
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1)1961年7〜11月と1962年8〜10月に,キンバエ,ニクバエ,およびイエバエの,3令幼虫を水の中へ入れて,その様子を観察した。2)イエバエ幼虫を水に入れると,殆んど悉くが沈み,どんな条件のときも,水に浮く能力はもち得ないし,水に対するその他の適応性も示さなかった。3)キンバエ幼虫とニクバエ幼虫では,虫体に水がふれると,数秒から数分の間に,嘴から空気を消化管内に入れて気胞を生じ,そのために虫体の浮く現象がみられた。水にふれるときの条件によって,気胞発生に遅速はあるが,イエバエ幼虫で気胞が認められないのに比べ顕著なちがいである。4)キンバエ幼虫とニクバエ幼虫が水面に浮かぶと,後部気門で空気呼吸をしてかなり長時間生き,その間,水面の物体にはい上った。イエバエ幼虫ではこのことが確認されなかった。5)水に沈んだ幼虫は,5〜20分間水底をはい廻り,水申の物体をはい上るが,垂直な面を上ることはなく,次第に動かなくなって,30時間内には死ぬ。6)便池を主な生活圏としている,特にニクバエ幼虫の,水に対する適応を阻害するような方向に,便池の構造を改めるべきである。
- 活水女子大学の論文