ハエはどんな腐り方が好きか
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概要
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1)1959年8月11日から16日までの6日間に,腐敗程度の違った魚肉を餌にして,金網トラップでハエを採り,餌の腐敗程度が採集能率に及ぼす影響を調べた。2)アジ150gずつを0,1,2,3,5,7日間腐らせた6階梯の餌を用いた。トラップは,校庭の中央の机上に配置し,毎日その配置位置を順に変えて,6階梯の餌が6日間に,6定位置を1巡するようにした。採集結果は,日,餌の腐敗度,場所の3要因について,分散分析によって吟味し,ハエの群集構造は相関係数法で吟味した。3)各腐敗度の餌で6日間に採れたハエ数の平均値間には5%の危険率で有意差が認められる。腐敗度1日のものが採集能率最も高く,腐敗日数が2,3,5日と増すに従って能率が下り,7日間腐らせて完全に液化したものは能率が低い。また,当日水揚げの新鮮なものは採集能率最低である。4)腐敗度の違う餌で採れたハエ類の,群集構造はかなりよく似ているけれど,厳密にいうと,1,2日の餌に集まるハエ群集の構造は極めて似ており,0日目は対照的である。3,5,7日のものは両者の中間推移型といえる。これは1,2日目のものにミドリキンバエ,チャバネヒメクロバエが比較的多く,逆にニクバエ,クロバエ類,特にセンチニクバエが少ないのに反して,7日や(特に)0日のものでは逆の関係にあるためである。
- 活水女子大学の論文