春のハエを夏飼って
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概要
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1)1963年5月に野外で採集したケブカクロバエから出発して,21℃恒温室内で累代飼育したものをStock cultureとし,成虫や幼虫が6〜9月の盛夏に,自然温度下でどのように成育するかを観察した。2)平均室温が26〜30℃で較差の小さい(較差は約0.4〜3.0℃)環境の中で,成虫は最長生存日数50日前後を示し,その間受精卵を産下した。3)幼虫は,6月下旬〜7月中旬と,8月中旬〜9月上旬とには羽化にまで至らない場合があって,この期間の平均室温は26〜29℃であった。7月中旬〜8月上旬には弱令期のうちに死ぬ幼虫が多く,蛹化した少数のものも羽化は全くしなかった。この期間の平均室温は29〜30℃であった。4)弱令幼虫期を21℃恒温室内で過した高令幼虫のうち,7月中旬〜8月上旬に実験室内でも発育を続けて蛹となり,羽化したものが少数あった。5)夏の高気温に加えて,発酵熱による幼虫培基の温度の上昇は,弱令幼虫の成育に大層悪い影響を与えるものと考えられる。
- 活水女子大学の論文