ハエは高さを選ぶか
スポンサーリンク
概要
- 論文の詳細を見る
1)1960年7月24日〜9月25日に,セット位置の高さの違った金網トラップで以てハエを採集し,採集位置の高さが採集能率に何らかの影響を及ぼすかどうかを調べた。2)トラップは全部で,2m・1.2m・1m・0.8m・0.4m・・0.3m・Om及び草むらの申のOmの位置にセットし,垂直に3〜4ヶを連結して同時に吊るした場合,各々の高さのものを8m間隔に離して同時においた場合,1つのトラップで毎日高さを変えた場合など,計5回の採集実験をおこない,トラップの機能上の差をなくすために,使ったトラップは各々の高さを1巡するようにした。実験場所は長崎市内にある活水高校の構内3地点である。3)3〜4ヶのトラップを連結垂下した場合,トラップの位置の高さによる採集ハエ数に著しい違いがあり,最下位の0〜0.3mのトラップが採集能率が最大であって約50〜90%のハエが集まる。そのうちの優占種はミドリキンバエである。4)2ヶのトラップが同時に地上にセットされ,その1が草の中におかれた場合,裸地のトラップにより多くのハエが集まる。このときの第1優占種はセンチニクバエ,第2優占種はミドリキンバエであって,共に裸地・草地の2トラップに大差ない割合で(僅かに裸地に多く〉集まっている。5)日を違えて1ヶのトラップをいろいろの高さにセットした場合,採れたハエ数の間には有意差が認められず,優占種であるオビキンバエはどの高さのトラップにもかなり似た割合で集まっている。6)ハエ誘引の餌の臭気についてみると,地上から高いところ程風が強いので臭気が速く拡散し,低いところでは風が弱いので臭気が停滞しがちとなる。だから高さ別のトラップを同時にセットすると,下位のもの程誘引力が優っていると考えられ,実験結果がそれに符合している。
- 活水女子大学の論文