ニーチェの肉体論(5)
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概要
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カントの超越論的自我に代わって、ニーチェは肉体の自我を主張する。この思考する自我に代わる思考する肉体は、ヨーロッパ近代における自我意識のコペルニクス的な転回であろう。この特異なニーチェの肉体は、多数の生命体(最低の単位は細胞も含めての生命単位)から構成された多元的肉体一元論(多様体としての肉体一元論)とでも呼ぶべきで、大別して無意識の生命体と意識的生命体とから構成される。前者が後者を支配統括する。その支配統括の能力が「力への意志」である。この意志が一番透視し易いのが肉体という現象である。ところが、「力への意志」は、プラスに活動する場合とマイナスに活動する場合とがある。プラスの時が「健康な肉体」であり、マイナスの時が「病んだ肉体」である。例外もあるが、本来的に芸術家はこの「健康な肉体」の所有者であるから、芸術家の「健康な肉体」現象を介して、見えにくく、把握しがたく、理解しがたい「力への意志」が理解される。
著者
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