行政とNPOの協働事業に関する調査研究
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概要
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研究ノート(note)本稿では、NPOへのアンケート調査結果を基に、行政とNPOの両者が実施する「協働事業」を分析の単位として捉え、その現状の記述を行った。調査は、まず、都道府県及び政令市・特別区において公開されている2006年(平成18年)度に実施されたNPO・市民活動関連の事業に関する情報をリストアップし、記載されていたNPO、1450団体へ調査票を送付した。調査票有効回答団体数は396(有効回答率27.3%)であり、各団体が2006年度において行政と実施した事業は、1団体平均2.63事業、計1040事業であった 。本稿では、これらのデータを基に、事業に関する基礎的属性として、事業分野、行政側担当機関、事業開始年、事業内容、事業担当者内訳、事業担当者数、事業実施日数、事業費を取り上げ、事業形態別に整理しながら結果の解釈を行った。事業の形態は、「委託」「指定管理者制度」「補助・助成」「共催」「行政の協力(場所、備品、人材等の提供)」「その他」に分類した。全体を通じて確認されたのは、形態によって事業の属性に大きな差がみられる点である。この背景には、行政の業務のアウトソーシング的発想で実施される委託や指定管理者制度に対し、支援的発想に重きを置かれる補助・助成、そして共同事業体としての意味合いが強い共催等、法的な位置づけや目的の差異があると考えられる。日本の行政-NPO関係論、とりわけ協働論では、こうした実態は考慮されず、ややもすれば協働であるか否か、といった二者択一的な議論に流れがちである。両者の関係性が単純ではないことを前提に、あらためて日本における協働モデルとはいかなるものか、議論を深める必要があるだろう。
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