自治省コミュニティ研究会の活動とその成果
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概要
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研究ノート(note)我が国で本格的にコミュニティ問題への取り組みが始まってからおよそ40年が経過した今日、これまでのコミュニティ政策の変遷過程を体系的に整理し、その全体像を明らかにしつつ公共政策としての功罪を検証した総括的な研究成果は未だ存在しない。そのため、たとえばコミュニティ政策の展開における中央地方関係を眺めるなかで住民自治のあり方を考えていくなどして総括的研究に取り組まなければ、将来のコミュニティ活性化への視点を導き出すことができないのではないか。このような問題関心に基づき、本稿は筆者が取り組む総括的研究の一部分として自治省に設けられた自治省コミュニティ研究会の活動を取り上げる。そして、この研究会による調査研究の動向を追うと、「コミュニティ施設をめぐる論点」、「コミュニティ計画をめぐる論点」、「モデル・コミュニティ地区の住民をめぐる論点」というコミュニティ問題をめぐる3論点の存在が把握できた。そこで、自治省コミュニティ研究会の各種報告におけるこれら3論点への対応の明確化につとめた。その結果、共通点としては、(1)コミュニティ形成が要請された背景として、都市化による弊害の顕在化を指摘している点、(2)住民参加をコミュニティ形成の第一歩と位置付けている点、(3)コミュニティ施設は住民による自主管理かつ市町村行政当局による管理経費負担が望ましいという方針を打ち出している点、(4)市町村計画におけるコミュニティ計画の位置付けの明確化を謳っている点、の4点を把握することができた。他方、相違点としては、(1)コミュニティ施策に関して行政に期待される役割に変化がみられる点、(2)コミュニティ問題における検討の力点に変化がみられる点、の2点を指摘することができたのである。
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