マルク・シャガールの油彩画に関する視感測色による統計分析の試み : 年代変化を中心に

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美術作品、とりわけ絵画作品の色彩は、主に美術史学や芸術学の分野において扱われてきた。したがって、色彩学からの絵画の色彩に関するアプローチは比較的少ないといえる。本報では、絵画作品の色彩への色彩学からのアプローチを試みた。画家としてはマルク・シャガールを取り上げて使用色の測色を行い、年代変化に焦点を当てて分析を行った。まずシャガールの文献等により、シャガールの色彩が一般にどのように捉えられているのかを調査した。次にシャガール作品の複製を視感測色し、得られた測色データを単純統計、数量化理論III類、階層的クラスタ化法という視点の異なった3つの統計手法によって分析した。それぞれの手法による結果では同様の傾向がみられた。第一に、文献ではシャガールの生涯は1期から5期に分けられることが多いが、シャガールの使用色の特徴に関しては1期、2期、3〜5期の3時期に区分された。第二に、区分された3時期の使用色の特徴は、1期に関してはpureトーンの多用が特徴的であり、2期の作品群はBk(黒)とGy(灰)の多用に特徴がみられ、そして3〜5期の作品群には、moderateトーンとshadeトーンの使用が比較的多いという結果であった。しかし、特定の色相と各期との関係は希薄であった。第三に、文献調査と分析結果間の対応では、1期と2期ではある程度の関連性がみられた。3〜5期の作品群は、我々の結果では1つのグループに集約されたが、文献ではこのようなことは言及していない。
日本色彩学会の論文
2006-06-01

マルク・シャガールの油彩画に関する視感測色による統計分析の試み : 年代変化を中心に

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