蒸熱処理によるPAPAYA果実生理障害の機構に関する研究 : (I)PAPAYA果実の追熟、軟化に関与する酵素と生理障害
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概要
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輸入パパイアが地中海ミバエの殺卵のため42.7℃、20分の蒸熱処理をすることにより、生理障害を起こし、追熟、軟化しない現象が見られる。今回、この現象に関与していると考えられる7酵素につきそれぞれの活性を測定し、さらに軟化に影響をしていると思われる2つの酵素について、電気泳動法により、その変動を確認して次のような知見を得た。1)ポリガラクチュロナーゼおよび酸性ホファターゼは蒸熱処理によるヒートシヨックで酵素活性は抑制されるが、前者では不可逆的で、後者は可逆的に影響を受ける。しかし、促進的に影響を受けている酵素はインベルターゼとパーオキシダーゼで、前者が不可逆的であり後者は可逆的である。2)β-1.3-グルカナーゼとβ-D-ガラクトシダーゼについては正常果、障害果ともに活性が低く検出できなかったので、バパイア果実の追熟に関与していないものと考えた。3)セルラーゼは正常果と障害果で、その活性に顕著な差が見られず、パパイア果実の追熟に関与しているとは考えられないが、再現性が良くなかったので、さらに検討する必要がある。4)ポリガラクチュロナーゼについては正常果で2つのアイソザイムを検出した。そして追熟が進行するに従って活性が上昇した。一方、障害果からは2種のアイソザイムは検出できず1種のみで、測定期間中には遂に酵素活性を示さなかった。この事からパパイア果実の追熟、軟化にはポリガラクチュロナーゼが多大に関与し、2つのアイソザイムのうち1種のみが事実上酵素活性を示すものと考えられる。5)インベルターゼにおいてもA、B2種のアイソザイムを検出したが、障害果において追熟後期から完熟期にBが鮮明に検出され、この時期の活性は顕著に高く、蒸熱処理によるヒートシヨックを受けた結果と考えられる。しかし、正常果では測定期間中ほぼ一定の活性を示し、完熟期になってBが鮮明に現れる時期に活性がやや高くなる。インベルターゼが直接的にパパイア果実の軟化に関与しているのではなく、生理障害として異常な代謝を示すものと思われる。6)パーオキシダーゼ活性は追熟初期で正常果、障害果ともに上昇するが、障害果の上昇は顕著である。このパーオキシダーゼも直接的にパパイア果実の軟化に関与しているのではなく、生理障害の異常を示しているものと考えられる。
- 駒澤大学の論文
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