ゴールデンハムスター卵に見られる第1成熟分裂と第1極体の放出
スポンサーリンク
概要
- 論文の詳細を見る
哺乳動物卵は他の多くの脊椎動物と同様に、排卵された卵子は既に第2成熟分裂中期に達している。排卵された卵子は受精すると、第2成熟分裂を完了し、いわゆる第2極体を放出する(cf. Gilbert, '97, Lombardi, '98, etc.)。排卵された卵子は卵管から容易に回収でき、これをin vitroで培養し人工媒精、またはin vivoでの人工媒精によって、その後の分裂を再開できるのでそれらのプロセスを詳しく観察できる。従ってこの方面の研究は膨大である(Knobil & Neil, '93, etc.)。これに対して、成熟分裂の第1分裂に関する観察は、この分裂が卵巣内で起こることに加えて、その分裂のステージを予測することが難しい為、この方面の研究報告は非常に少ない(Odor, '55; Sorensen, '73; etc.)。しかしながら、ハムスターでは排卵日を容易に判定でき、その後発情周期をも事前に推測することができる(Greenwald, '60; Iwamatsu & Yanagimachi, '75)ので、排卵日をDay-1とし、この日に卵胞刺激ホルモン(PMSG)を、次いで黄体形成ホルモン(hCG)を腹腔内に注射することにより、多数の卵胞を人為的に成熟分裂へ誘起することができる(Ebensperger & Barros, '84)。卵巣内にある卵母細胞には大きな卵核胞(GV)が存在するが、この核が崩壊(GVBD)後、卵のどこに第1成熟分裂の装置が形成され、第1極体が放出されるようになるのか。極性がどのようにして決まるのかに関する手がかりを得る目的で、先ず、第1成熟分裂のプロセスを詳しく観察したので報告する。
- 和歌山県立医科大学の論文
著者
関連論文
- ワンパック高カロリー輸液の再考 : 1.2μ輸液フィルターは有用か?
- ハムスター輸卵管の鋳型作製の試み
- 走査型電子顕微鏡による観察で見い出したヒト射出精子の持つ形態異常
- ヒト精子の形態異常と男性不妊
- ヒト射出精子にみられた頭部形態異常の超微細構造
- P2063 スチレンとフロセミドの複合曝露によるモルモットの聴覚に対する影響(第2報)
- 2.スチレンとフロセミドの複合曝露によるモルモットの聴覚に対する影響 : 電気生理学的および組織学的検討(一般演題)(第32回有機溶剤中毒研究会)
- ハムスター卵子の成熟と受精卵にみられる卵表層の粘性の変化(発生学)
- ハムスター卵子の多精における雄性前核の形成
- 蛍光灯の光がもたらすハムスター卵子の成熟分裂の異常(発生学)
- ニワトリ胚発生において骨形成過程を観察する簡便な方法
- ゴールデンハムスター卵に見られる第1成熟分裂と第1極体の放出
- ヒキガエル胚孵化及び孵化液の予備的研究
- ハムスターの成熟分裂及び受精に伴う卵の硬さの比較(北山邦利助教授退職記念号)
- ゴールデンハムスターの精巣上体各部位に見られる精子の形態的変化(発生学)